ここ数カ月、店舗改装の準備などでバタバタしており、ブログ記事が滞ってしまっていました。。。
これからはもう少し頻度を上げていきたいと考えています。
ただ、バタバタの中でいいこともありました!
今回はその報告をさせていただこうと思います。
店の改装準備の段階で、従業員の方から、「こんなものが出てきました」と渡されたのは大き目の木製ブロックのようなもの。女性の手と同じくらいのサイズでしょうか。
なんだろう?とその木を裏返してみたら、ビックリ!
これ"はんこ”だったんです!!
画像を見てみてください。かなり細かく作りこまれているのが判るかと思います。
当然、どんな内容かが気になりますよね。
もちろん押してみました。
ご覧ください。
かなりお洒落だと思いませんか?特に英語と日本語が上手くデザインされていて、モダンなフレームにきちんと収まっています。
これなんと「手彫り」なんです!!
私ももちろん印章を彫刻しますので、食い入るように観察しました。
「文字のデザインやサイズ感」、「シンメトリーなフレームデザイン」、「字配り」、「英字と和字のバランス」、「フレームと書体の親和性」、「空間の取り方」、「装飾の選択とバランス」、「レリーフの角度」、「線の交点の処理」、などなど、上げればきりがないくらい沢山、観察しました。
その結果、、、
素晴らしいクオリティだと感じました。
残念ですが、現時点の自分の技量ではこれを手彫りすることは出来ません。。。
何段階も上のレベルの作品です。本当に凄いです。完敗です。
いつの時代に作られたものかも気になりますよね。
印影を見ると「田丸印房」の下に「二条 寺町 西」とあります。これは当店の初代田丸安之助がはじめに商いを始めたとされている場所なんです。
という事は第二次世界大戦前後という事になるので、彫られたのは75年程度前になります。当時としてはかなりモダンなデザインだったかと思います。『令和』の現代でも十分に通用するデザインだと思います。
その後、周囲の人にも聞いてみたところ、どうやらこの作品は当店2代目「田丸勇」の若い頃の作品の可能性が高いことが分かりました。
2代目は当時としては珍しく、英語が堪能だったことから、当店には戦後米国兵がよく遊びに来ていたという事を聞いています。写真もこのように残っています。
こうした外国の方にも分かりやすいように、この印を刻したのかもしれません。実際、記載されている内容も
「Under The favour of every imperial prince , Head temple , Department , bank , company , Stamps manufacturer」
と記載されいるように読めるので、
「宮様、総本山、百貨店、銀行、会社など御用達の印章製造店」
というような訳になるでしょうか。
つまりこの"はんこ”は当店を紹介をする、今でいう"ショップカード”や”ビジネスカード”と同じような役割のものとして作ったのかもしれません。
それにしても、この作品に限らず、昭和初期あたりまでの日本の職人における手仕事のクォリティにはいつも驚かされます。
これはもしかすると日本に限ったことではないのかもしれませんね。
機械工業の普及前は手仕事が基本で、手を器用に使う機会、絶対的な量が多かったのだと思います。ともすれば、それが生きる事に直結していた時代だったのかもしれません。
こうした時代背景に思いを馳せながら、頭の片隅では別のことも同時に考えていました。実は上の画像でもわかる通り、ところどころ欠けていたり、凹んでいたりしています。
この"はんこ"をなんとか再現できないかと。
そうです。文字通り『復刻盤』の製作です。
今、その方法を考えています。
上手く復刻版が出来上がりましたら、皆さんにもご紹介したいと思います。
また、この”はんこ”はせっかくですので、お店に展示を出来たらいいなと考えております。 皆さんも是非、この”はんこ”の素晴らしさに触れてみてください。
準備が出来たら、本ページやSNS(Instagram、Twitter)でお伝えしますので、良かったらフォローしておいて貰えると嬉しいです。
では続報をお待ちください。