清少納言の『枕草子』は、平安時代中期に執筆されたとされる随筆で、紫式部の書いた『源氏物語』と並ぶ、日本の平安期の文学作品です。
冬はつとめて。
雪の降りたるは言ふべきにもあらず、霜のいと白きも、またさらでもいと寒きに、
火など急ぎおこして、炭持て渡るも、いとつきづきし。
昼になりて、ぬるくゆるびもていけば、火桶の火も、白き灰がちになりてわろし。
《現代語訳》
冬は早朝(が良い)。雪が降っているのは言うまでもなく、霜がとても白いのも、またそうでなくても非常に寒い早朝に、火などを急いでおこして、炭を持ってあちこち移動するのも、とても冬の朝らしい。昼になって、寒さがだんだんとやわらいでいくと、火桶の炭火も白い灰が目立って見栄えがしない。
サイズ:52×18×27mm(縦×横×高さ)